川上弘美『猫を拾いに』を読みました

川上弘美氏著の『猫を拾いに』を読みました。

 

表題作のほかに短いお話がたくさん掲載された短編集のような形式です。

感想を端的に述べると、正直、今一つパンチが足りないなぁという印象でした。

 

私は川上氏の作品が大好きで、今まで多くの作品(エッセイ含む)を読んできましたが、川上氏の作品といえば夢か現実かわからないような不思議な空気感と、なんとも言い難い熱を帯びた恋愛と、あと個人的には、ちょっとダメだけれど何だか憎めない、それどころか夢中になってしまう不思議な男性の存在が魅力かなと思っています。

 

本作には、不思議な空気感はありましたが、後者2つがなかったので、個人的には物足りなく感じたのかなと思います。それから、短編集で、一つ一つのお話が短いぶん没入感が少ないまま、消化不良でお話が終わってしまうというのもあります。

 

その代わりといってはなんですが、詩集を読むような軽やかさで楽しむことができて、その点は良かったです。

 

川上氏の作品を読んだことがない人は、ぜひ一度読んでみてほしいです。個人的には『物語が、始まる』がおすすめですが、他の作品もエッセイ含め、ハズレは全くないのでどれを読んでも良いと思います。

 

先日、今回読んだ『猫を拾いに』を買った際に、他にもいくつか川上作品を購入したので、しばらく川上作品感想文祭りが続くと思います。